10月30日(日)、第17回地方自治研究かまくら集会が鎌倉市商工会議所で開催され、午前と午後で延べ220人の市民と職員が参加しました。文字通り、市民と職員が「自治」や「市政の課題」を学び合う場となりました。主催は、鎌倉市職員労働組合を中心とした労働組合、市民団体の15団体です。
午前中の全体会のメインは、鎌倉在住の高橋源一郎さん(作家、明治学院大学教授)の記念講演で、会場一杯の市民と職員150人が参加しました。講演のテーマは「地方自治と民主主義」。高橋さんは「大学が大変なことになっている。みなさん知らないでしょう?」と、文部科学省の指導で、大学の教授会の権限が剥奪され学長に帰属するように全国の大学が校則改正している実態を話されました。民主主義の危機は、いろいろなところに及んでいると危機感をにじませます。続いて、「最近の若い人はダメ」だと否定しないこと、否定した先に未来はないこと。「もしかすると、若い世代の方が感受性豊かで、今の大人より優れているかもしれない」こと、「希望を語る」事の重要性と「分かる言葉で」あきらめず話すこと、前提を置かず、「一から説明する」ことの重要性を話されました。次の世代にバトンタッチする大人が何を残すのかを明確にして、希望を持って語る事が大事だと実感しました。
午後は、三つの分科会に分かれました。第1分科会の「公の仕事って何だ?」は、指定管理の導入が進む鎌倉市の行政に対し、本当にこれでいいのか!?と学習と討論が行われました。。第2分科会は「市民が市政を動かし始めた!!」で、環境問題や公の施設の指定管理など、市政の課題で、住民運動の中心にいる市民たちが一堂に会しました。第3分科会は「鎌倉にもあるいろいろな貧困。」。市内の医療機関からの実態報告や全国や県内市内の統計から見る貧困の姿などで話し合いました。分科会は全体で市民と職員が70人参加しました。
鎌倉市の自治研集会は17回目ですが、前回は9年前の開催です。今回、再開するに⾄った動機は、市政の正常化を求める動きです。鎌倉市では⼀部市議会議員による職員労働組合への攻撃が続いています。それに対し、市⻑もそれらの勢⼒に引きずられてしまうなかで、組合への不当労働⾏為が頻発し、市職労は県の労働委員会で争っています。また、環境問題などでさまざまな問題で現職の市長や市政への市⺠の批判が強まっています。⾏政の不祥事も続いています。このような中で、職員は萎縮し、市⺠との関係も悪くなっています。地⽅⾃治体は、住⺠と職員が良好な関係でなければいい運営はできません。職員や組合をバッシングすることではなく、⼀緒になって悩み、汗することで事態を改善することが求められていると強く感じました。このような中で、住民から逃げるのではなく、向き合って話し合おうと考え⾏動に移しました。今後も集会の継続と同時に、様々な運動をすすめていくことで市政の正常化が図られるよう奮闘します。